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コラム

SIHH2016見て歩き:オーデマ ピゲ 文・菅原 茂

ミニッツリピーターの未来像を先取り

2016.04.27

 スイスの時計展示会で高級時計の花形として注目を浴びるのは、昔も今も複雑時計だ。機械式時計では伝統的に、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)が3大複雑機構とされる。ここで「伝統的に」というのは、これらの複雑機構が開発されたのが今からおよそ2世紀も昔に遡り、現在も当時の基本原理に基づいて作られ、「現役」として存続しているからだ。他の産業分野ではちょっと考えられないだろう。

 こうした最高峰の複雑機構を見ていて、いつも頭によぎるのは「同じことの繰り返しは、退化である」という、ずいぶん昔にどこかで時計師から聞いた言葉だ。伝統を大切にしながら技術の継承に努めることはもちろん重要だが、そこに革新を加えていかなくては、進歩はなく、未来へとつながらないことを端的に言い表している。

ROC_26577TI-OO-D002CA-01_1_exploded_view_Office(RGB)2 今年のSIHHを見て、伝統的な複雑機構の現代的な進化をまざまざと実感させたのが、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク コンセプト・スーパーソヌリ」だ。昨年コンセプトモデルが発表され、今年いよいよ特許取得の3つの革新的技術を搭載したこの複雑時計は、ミニッツリピーターを主役に据え、トゥールビヨンとクロノグラフを組み合わせたもので、ハイテク感が漲る精悍なデザインにも先進性が映し出されている。

 ミニッツリピーターとは、簡単に言うと時刻を音に変換して告げる機構。もともと照明に乏しい環境、たとえば暗闇で“時刻を音で聞く”ために考案されたものだ。このミニッツリピーターにとって最も重要なのは、言うまでもなく「音」である。時計メーカーは、小さなメカニズムが発する音を増幅させ、透明感あふれる響きを実現するために技術を凝らしてきたが、物理的な音量や音の広がりだけでなく、人間の耳で知覚する音である以上、聞き取りやすさや心地良さまでもが問われるから、そこには他の複雑機構とは違った独特の難しさがある。それは、限りなく「良い音」を探求する楽器やオーディオ機器の世界と似ているだろう。

 

 オーデマ ピゲは、時計技術のみならず、音響工学や音響心理学といった科学的なアプローチも取り入れてこのミニッツリピーターを完成させた。ここでその技術革新を詳しく紹介する余裕はないが、実際に聞いたところでは、離れたところからもはっきり音が聞き取れ、しかも驚くことに、腕に載せると音がミュートされるのかと思いきや、逆に音量が増すのだ。それは、従来のミニッツリピーターとはまったく異なる体験だった。このように進化した「ロイヤル オーク コンセプト・スーパーソヌリ」がミニッツリピーターの未来像を先取りし、他の時計メーカーに刺激を与えるのは間違いないだろう。

 

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BRAND
AUDEMARS PIGUET
NAME
ロイヤル オーク コンセプト スーパーソヌリ
Ref NO.
26577TI.OO.D002CA.01
PRICE
¥64,530,000(税込)
DETAIL

価格は予定価格です。手巻き、チタンケース、ラバーストラップ、2気圧防水、ケースサイズ44mm 全文表示

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