1858年、時計技師のモーリス・ディティシャム兄弟がスイスのラ・ショードフォンに時計製造会社を設立、そこから輝かしいマニュファクチュールとしての歴史がスタートする。創業後間もなくクロノメーターやクロノグラフなどの複雑時計を次々と発表しパリ万国博覧会、シカゴ国際博覧会、バルセロナ国際展示会などで数々の賞を受賞する。

　設立から約1世紀後の1947年、5年におよぶ開発努力を重ねた世界で初めてアラーム機能搭載した機械式時計「クリケット」を発表。革新性、パフォーマンス、有用性を兼ね備えたクリケットは、世界中の時計業界に大きな反響を引き起こす。またアイゼンハワー、ジョンソン、ニクソンといった歴代のアメリカ合衆国大統領が愛用したことから「大統領の腕時計」という呼び名で広く親しまれるようになった。

 続く1950年代には航空界や海底探検、ヒマラヤ探検など過酷な環境にもフィールドを広げ、信頼性の高さを証明する。

　2002年にはスイスのル・ロックルに本社を構える。創業以来卓越した技術力と妥協を許さないクラフツマンシップの精神は現在もヴァルカンのDNAとして継承され、たゆみない革新の中、新たな歴史を刻み続けている。

　日本では2014年に再上陸、同年自動巻キャリバーV-21を搭載のクリケットを発表。2015年には1947年に発表されたヴァルカン初のクリケットのレプリカモデルを発表。そして2016年にはパワーリザーブを42時間から52時間へと伸ばした手巻きキャリバーV-16を発表。ヴァルカンの歴史は人と時の関係を進化させながら今も歩み続けている。