2001年に設立されたマイスタージンガーは、「人生において大切な時間とは、日常過ごしている何気ない時間である」という理念のもと、文字盤に針が1本だけのシングル・ハンドで時刻を表示している。これは、毎日を確かなものにして、 分や秒単位でせかされることなくゆったりと過ごす時間が何よりも大切で、より豊かな感情をもって、人生をポジティブに楽しく過ごしていこう、ということの表れである。

　マイスタージンガーはのブランド名の由来は中世から近世にかけてドイツの手工業ギルドが与えたマイスター称号のひとつで、マイスターは「親方」、ジンガーは「歌い手」であり、日本語では「職匠歌人」、「親方歌手」などとなる。マイスタージンガーは、ドイツ各地の宮廷を遍歴していたミンネゼンガー（吟遊詩人）たちが中世貴族の没落に伴って都市に住み着いたのが始まりと考えられてる。15-16世紀にかけて、ニュルンベルグをはじめとする南ドイツの諸都市を中心に手工業者の親方や職人、徒弟たちが組合に集い、詩と歌の腕を磨きあう文化が栄えた。そこで競争に勝ったものがマイスタージンガーと称されており、まさに時を楽しむということを、時計で表すにはぴったりのネーミングである。

　その洗練されたデザインでノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが選定を行っているレッドドット・デザイン賞や1953年に設立され、毎年全世界の工業製品を対象に優れたデザインに与えられる権威あるデザイン賞であるiFデザイン賞等を受賞している。